一人で……
今回は、Sさんが2週間の休暇を取りドイツへ行っているので、久々一人の釣行となった。Sさんの長女がドイツに住んでいて、二人目のお孫さんが生まれ、もう一歳になる。まだ一度も行っていないので、会いに行くことになったからだ。
先日の大型台風は各地に猛威をふるい各地に多くの被害をもたらした。釣り場も林道が崩落し通行止めのところが続出している。
一人で行くので危険な釣り場は避けたい。で、安全な場所ということで、鹿留川に行く事にした。
台風当日は、関東地方は17時ころから雨、風が強くなり始め18~19時にピークを迎えていた。近年に無いもの凄い暴風雨だ。我が家の窓ガラスが今にも壊れそうな勢いでガタガタ、キュルキュル、軋んでいる。嫌な予感がする。まわりの家の窓をみると、みな雨戸がある。窓ガラスがむきだしになっているのは、我が家くらいのものだ。どこからか、なにかが飛んできたら大変な事になる。
仕事に集中出来ない。視線は幾度となく隣の家と家の間の風の通り道に移る。風はその通り道を抜け、ちょうど仕事べやの窓ガラスにぶち当たっているのである。やはり嫌な予感は的中した。どこからか、ふわ~っと5mほどの細長く黒っぽいものがくの字になって飛んできた。仕事部屋の窓をかすめ隣の寝室の方へカーブを切って飛んでいった。窓の視界から消えた、その瞬間、まずいっ! ガシャーン! と、ものすごい音。急いで隣部屋の寝室にはいると、風がもの凄い勢いで吹き込んでいる。雨も大量に降り込んでいる。台風がピーク時の出来事である。ベッドはビショビショ、ガラスが散乱、強風が吹き込む。パニックである。何かで窓を覆わねばならない。クローゼットからB全のポスターパネルと段ボールを持ち出し、窓枠にあてがい固定しようとするが、風に押し返されてうまく行かない。色々工夫した末何とか固定することが出来た。幸いにも窓枠が格子だったので被害は少なくてすんだ。次は散乱したガラスの処理、一個一個新聞紙に拾い上げる。タオルケットのうえに細かく散らばったガラスはそのまま包み込んで処分。あとはベッドの上、周りに散乱したガラスを掃除機で吸い取る。何とかこの騒ぎも収束。
話がそれてしまった。そんな大型台風のあとで、ちょっと不安な気分で7時少しすぎに家を出る。都留インターを降り、前回魚券を買ったコンビニに寄るが魚券を切らしていると言う。もう3日で禁漁になるので仕方が無いっか? 街道を500mほど走ると別のコンビニがあったので寄ると、僕と同じくらいの男がちょうど魚券を買っていた。店員に川の状況をいろいろと聞いている。同じ沢に行くとマズイなと思っていると、その男はどうやら本流に入るようだ。ほっ!
鹿留川入口の信号を左折し、1キロほど行くとがけ崩れのため通行止めの看板が立っていた。そこを左折し、橋を渡って車を進める。前回もこの橋を渡ったような気がしていたのだが、どうも道を間違えたようである。早々引き返し、通行止めの看板が立っていた道に侵入する。どこまで行けるか不安な気分で車を進めると、通行止めはもっと先のようだ。今日は、1時間くらいの歩きは覚悟してきたが、結局通行止めは前回車を止めた橋から先だったので、橋の手前の公園に駐車し支度を始める。
今回はすこし下流から入渓する。先日の大型台風でこの沢もかなり増水したよだ。沢ぎわに立つ木の根元が削られ、根っこがむき出しになった断面がが連なっている。増水は少なくとも2mはあったようだ。流木もそこかしこに散らばっている。木橋は流され沢岸に追いやられている。けれども、沢底、流れは前回より綺麗いで沢全体がさわやかな感じである。
釣り始めるがサッパリ釣れない。魚の気配すらない。突然「釣れますか? 」 と、声がかかる。振り返ると林道から70才位の釣り人らしき男がこちらを覗き込んでいる。「釣れないでしょ、台風でダメだよ、崖崩れすから危ないよ、もっと下流のの方がいいよ。……。」話を聞いていると地元の人らしい?? 「じゃ、気をつけて」と早々に行ってしまった。その男が言った通り魚の姿を見ることもなく。4時半納竿。「芭蕉月待の湯」にのんびり浸かり帰途につく。