[vol.492/2014年7月18日]
ユリ科/ネギ属/多年草/草丈:20〜40cm/5〜6月
全体に柔らかく、ニラのような匂いがする。花の穂はむかごがかたまってつく。春に球根の白い玉(鱗茎)を生のまま味噌をつけて食べる。辛味があり、葉や茎も食べられる。「野に生える蒜」の意味。蒜(ひる)は、ネギやニンニクの古名。かむと辛くて、ひりひりすることから「ひる」と言う。
醤酢に 蒜搗き合てて 鯛願ふ 吾にな見えそ 水葱の羹
万葉集 長忌寸意吉麻呂(ながのいみきおきまろ)
よみ:醤酢(ひしほす)に、蒜(ひる)搗(つ)きかてて、鯛(たい)願ふ、我れにな見えそ、水葱(なぎ)の羹(あつもの)
意味:醤(ひしほ)と酢(す)をまぜたものに蒜(ひる)をつぶして鯛(たい)を食べたい。水葱(なぎ)の羹(あつもの)なんかはいらない。
醤(ひしほ)は、豆・麦・こうじ・塩などから作られた。今の醤油(しょうゆ)のようなもの。蒜(ひる)は、ニンニクなどのネギ類のこと。水葱(なぎ)は、水葵(みずあおい)のこと。羹(あつもの)は、お吸い物のこと。