2008年9月4日

2008.9.4.一之瀬本流_1 ▲この川の主、神のような大イワナ 2:17.pm

尺岩魚を釣る。強運と幸運の谷

 

今回は奥多摩をめざした。
青梅街道から本流に入る登山道の入口に着くと、工事中のため通行止の立て看板あった。3時間もかけてきたのに、それはないだろうと思い、よく読むと3kmほど先に迂回路があると書いてある。どうやら、沢の上流部に出るようだ。迂回路を30分ほど行くとキャンプ場近くの通行止のゲートに到着した。
そこは、今日の目的の入渓点よりかなり上流である。
仕度を済ませ登山道を歩いて入渓点まで下るが、途中、工事中の場所などどこにもない。もっと下流なのだろう?
なぜか、今回はいやな予感がする。このところ局所的な豪雨にみまわれ、いろんな所で事故が起きている。沢の対岸に取り残され、一晩を山で過ごし翌日発見され救助。といったニュースも耳にした。崖崩れに遇って死亡したと言う事故もあったようだ。工事区間でそんなトラブルがあったのではないかと、変な想像しながら目的の沢に降りた。前回来た時より少し増水しているようだ。それでも問題なく釣行は可能だ。テンカラのSさんに先行してもらい、餌釣りのぼくが後続で釣行開始となった。1時間ほど釣り登った小滝(写真/下)で幸先よくSさんが良型の綺麗なイワナを釣り上げた。

2008.9.4.一之瀬本流_2 ▲大物がいそうな小滝

2008.9.4.一之瀬本流_3 ▲本流

ぼくも19cmのヤマメ、20cm、17cm、19cmのイワナを釣った。時計を見るとすでに1時を過ぎていた。
Sさんに声をかけ、お昼ご飯にした。
午前中は曇っていたが、薄日が差し込み沢も明るくなってきた。気分も爽快、ゆっくりと釣り登っていくと、先行していたSさんが足止めを食っている。増水のため行く手を阻まれたのだ。進むには右岸の岩場をへつるしかない。ホールドし辛いツルツルの岩場だ。岩場の下は水深はそれほどではないが急流10mくらいの岩盤滑り台。下流は7〜8m先で少し平坦になっているが、その下は落ち込みだ。落ちれば大変なことになる。Sさんが先にトライした。上流の安全地帯まであと一歩のところで動きが止まった。前にも後ろへも動くことが出来ず、ホールドが効かなくなっている。ぼくが岩場の上部に根を下ろし、垂れ下がっていた木が有ったので、その枝をSさんの方へ押しやったが、時すでに遅く、ズリズリっと岩盤の滑り台にずり落ち、あっという間に、為す術もなく流されてしまった。幸いケガもなく落ち込みの手前で止まった。気をとりなおし、今度はぼくが先にトライした。なんとかこの場をしのいだ。
ずぶ濡れのSさんはレインコートを着込んだが少し寒そうだ。
この難所を過ぎてからは川通しで釣り登ることが出来た。1時間ほど登ると、支流との出会いの滝の落ち込みに出た。落ち込みワキの大石のくぼみのタルミに、ブドウ虫を送り込むと、目印がスーッと1mほど横に動いた。アタリはない、ゆっくりと竿先をすこしあげ上げ、ラインにテンションをかけると、ググーッと竿にもの凄い重みが伝わってきた。竿をさらに引き上げると大きなイワナが悠々と姿を現した。かなりデカイ。それでも落ち着いていた。魚のあたまをもちあげるように、ゆっくり、ゆっくりと引き寄せる。ネットに取り込むと、あまりの大きさにイワナはネットの中で丸まってしまた。しかし、逃れようにもの凄い勢いで何度も何度も反転を繰り返した。針を飲み込んでいたのでダメージが一層大きい。出血もしている。何故かだいじにあつかわないとバチがあたるような感覚に襲われた。急いで撮影を済ませリリースすると、そのイワナは流れの緩い場所へとゆっくりと逃れていった。
この「川の主」。と、いった感じの大イワナ=33cm。0.2号フロロカーボンの細いラインでよく取り込めたものだ。こんなサイズはもう二度と釣ることはないだろう……。

この沢では危ない目に何度かあったが、その都度、強運に救われてきた。今回も、また、幸いにも大事にいたらずにすんだ。そして、幸運な至福の時間を過ごすことも出来た。この沢ではよい体験をいっぱいさせてもらっている。
この「川の神」と「川の主=大イワナ」に感謝。

2008.9.4.一之瀬本流_4 ▲ヤマメ(19cm)12:04.pm

2008.9.4.一之瀬本流_5 ▲イワナ(20cm)12:34.pm

2008.9.4.一之瀬本流_6 ▲大イワナ 33cm /写真上=20cm のイワナと比べると大きさ太さがわかる。

 

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